タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「ダメダメ。そんなの無理に決まってる」


王子は首をプルプル横に振った。


薄茶色の、肩を覆う髪の毛がバサバサと左右に揺れる。


「夫人にそんな危険な行為はさせられないよ。するなら男爵に参加してもらおう」


参加できるもんなら、最初からさせてるってば!


できないから、あたしが我が身の危険も顧みずに参加を表明したの!


それくらい即座に察しなさいよ! ほんっとに軽い頭ね!


持ち歩くのに、さぞ便利でしょ!? その頭!


「夫は酒飲んで引っくり返・・・いえその、えーっと、や、病に倒れました! ついさっき!」


「あ、ひょっとして今、運ばれていった人?」


「そう、それ! だから不在の夫の代わりを妻が果たす! シーロッタ・ヌゥーキー男爵家の伝統なんです!」


両手をガッシリと握り合わせ、懸命に王子に向かってウルウル懇願する。


「夫への愛と! 誠意と! そして男爵夫人としての務めを、私に果たさせてくださいぃ!」


なんーぼでも、舌からペラッペラ出てくる。嘘が。


人間、せっぱ詰ると口も頭も油が乗るもんなのね。


この調子だ! 行け行けあたし! ゴールに突っ込め!

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