恋文
「しーっ!もう始まるよ」
「うぇっ?ごっ、ごめん。」
アタシの注意に、申し訳なさそうに眉を八の字にさせる。
アタシ達以外には誰もいないし、別に静かにしなきゃいけない理由もないんだけど、今は悠哉さんの優しさに触れたくなかった。
悠哉さんは誰にでも優しいから、アタシは勘違いをしてしまう。
それが嫌で、今は、今だけは、プラネタリウムに集中することにした。
『本日は当館にお越し頂き、~~』というアナウンスが流れ始めると、辺りは薄暗くなり、映画館みたいだった。
椅子を斜めにし、写し出された満天の星空を懐かしい気持ちで見上げる。
それは小学生の頃に見た、あの星空。
本当に、何から何まで変わってないんだなぁ。
綺麗な星空を前に、アタシの思考はどんどんズレて行く。
あの頃は大きかった椅子にもたれ掛かりながら、昔の自分を思い出す。
暗い場所が嫌いで寂しがり屋。
ワガママで利かん坊だったアタシがよく高校など行けたものだ。
お父さんもお母さんも、アタシの高校式の日は何故か泣いていた。
入学当初は、高校に行く気はサラサラなかった。
それでも、両親のあの喜びようを見ては、あからさまに高校をサボる訳にもいくまい。
だからアタシは必ず1度、学校へは向かう。
それが、今のアタシの精一杯の親孝行。