恋文
アタシは1人っ子で、両親の愛を1人占めして育ったからこんな風になっちゃったのかな。
別に、それでも良いけど。
どれがどれなのか分からないのは相変わらずで、昔と変わったのは、アナウンスの話を寝ないで聞けるようになったことと、椅子に座っても足が床につくことだけ。
満天の星空は普通に綺麗。普通に。
人工と自然では比べ物にもならないくらいに自然が勝るので、仕方がないとは思うけれど、大した感動もないアタシは少し物足りなかった。
アナウンスの声もだんだんBGMになり、その言葉の意味を理解する気もなくしてしまった。
アタシが見たいと言った手前、つまらない、なんて言えるハズもなく、あたかも楽しんでるかのように天井の穴に目を向ける。
チラッと横目で悠哉さんを見ると、悠哉さんはひどく悲しそうな表情をしていた。
なんで?なんで、そんな顔をするの?
つまらないから?
アタシのせい?
悠哉さんから目を離すことも叶わず、気付くとアタシは悠哉さんの横顔に見入っていた。
それは人工の星空なんかよりも綺麗で、アタシにはキラキラと輝いて見えた。
悲しそうに揺れる瞳も、きゅっと結ばれた唇も、全て綺麗で、今にも崩れそうな儚さを宿していた。
悠哉さんはアタシの視線に気付くと、一瞬驚いたように目を見開いたが、なにごともなかったかのように、ニッコリと微笑んだ。
そして、また星空へと視線を戻す。
まるで、聞かないでくれ、とでも言うように。
分かった。分かったよ。
アタシは、悠哉さんが聞いて欲しくないって言うんなら何も聞かない。
聞いたってアタシには何も出来ないから。
悠哉さんとは今の関係のまま、近すぎず遠すぎない、この距離感のまま。
悠哉さんがその関係を望むなら、アタシはそれ以上を望んだりしない。
だから、ね?
アタシの側にいて。
大好きだよ、悠哉さん。
キラキラと目映いほどに輝く星空に、アタシのこの気持ちは吸い込まれて、悠哉さんに届くことはない。
それを残念だと思いつつ、安心している自分がいた。