恋文



あの動物園から1ヶ月は経った今日、アタシはいつも通りにケータイとにらめっこをしていた。

なぜ?
悠哉さんに連絡しようか迷ってるからだよ!
あれから1度も悠哉さんはアタシをドライブに誘っていない。
確かに『サボって良いのは1ヶ月に1回』と言ったのはアタシだけど、土日とかなら誘ってくれても良いじゃん。

アタシからは誘いづらいし、悠哉さんに会えないだけで、こんなに日常がつまらないなんて思ってもみなかった。
悠哉さんに会いたい。

電話帳から悠哉さんの電話番号を押しては、消す。その繰り返し。
何度も通話ボタンを押そうとしたが、これが難しい。
ここ2,3日はずーっとこれだ。

真面目に恋愛なんてしたことないし、ましてや二十歳過ぎの社会人。
どうして良いのか分からずに学校の机に突っ伏す。

悠哉さんからドライブのお誘いがない→ヒマ過ぎる→悠哉さん以外の男とは遊びたくない→よし、学校へ行こう

という流れで、アタシは学校に行くことが増えた。
アタシはいつから、こんなに一途になったのだろうか?

「ハールー!まーた、やってんのー?自分から連絡すれば良いじゃん!!」

そう言って隣に座ったのはアタシの友達――未来。

「だってぇー未来ぅー」

「甘えた声出さないのー。学校1の美女が聞いて呆れるわ。」

学校1の美女、ねぇ…。
我が校のバカイベント。
『校内の美男美女ランキング』。

アタシが大嫌いな学校祭の砦。
去年アタシは1位に選ばれた。票いれたヤツは死ねば良いと思う。
美男1位は、何故か体育教師。

なんでも、校内にいれば、生徒も先生も関係ないらしい。
んな訳あるかっつの。

「アタシ、その変な称号嫌い。」

「ワガママお姫様か!変な称号言うな!」

「未来だって2位だったじゃん。正直、そういうのウザくないの?」

「ウザい時もあるけど、悪いことばっかじゃないしょー。」

「例えば?」

「購買混んでるとき道あけてくれる。食堂で席を譲って貰える。」

「※盗撮されます。」

「写真くらい我慢してあげなよ!」

「アタシは嫌なのー」

早く、この称号をなんとかしたい。
この称号のせいで盗撮ばっかされるし、アタシのラインのIDとか売られるし、シャーペン盗まれるし。

帰り道につけられた時は、さすがに死ぬかと思った。
Twitterで見た、変な宗教の呪文を唱えながら発狂したように躍り狂ったら、あっちが逃げてくれて助かった。
それからストーカー行為が激減したからあれ良いよ。効果抜群。



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