ガーデンテラス703号
「そうかな。あゆかだって、大学の頃よりは大人っぽくなっててちょっと印象変わったじゃん。なんて言うか、綺麗になった」
遥斗の言葉に、心臓がトクンと跳ねた。
昔よりもかっこよく、大人っぽくなった遥斗にそんなこと言われたら、彼のことを意識してしまう。
「何?今さらそんなこと言ったって、何も出ないよ」
冗談っぽく笑ってそう言ったものの、胸のドキドキは速くなるばかりだった。
「俺さ、ちょっと後悔してて。別れるとき、俺あゆかにひどい言い方したじゃん?お前のことつまんないとか」
遥斗が持っていたビールのグラスを置いて、困ったように眉を寄せる。
「あの頃、仕事に慣れるので必死で、お前との時間をとったり優しくしたりする余裕が全然なくなってて、ひどいこと言った。別れたあとも、傷つけたことがずっと気になってたんだ。今さらだけど、ごめんな」
遥斗が申し訳なさそうに頭をさげる。
遥斗のことすごく好きだったから、別れるときの言葉は本当に傷付いた。
またつまらないって思われたらどうしようって、新しく好きな人を作るのがトラウマになるくらい。
でも、こうして謝られたら「いいよ」と全部許してしまいたくなる。