ガーデンテラス703号
遥斗のこと、好きだったから。
「もう、いいよ」
そう言って笑いかけると、遥斗もほっとしたように笑った。
「よかった。俺さ、今さらだけど、大学のときあゆかのことほんとにすごい好きだったんだよ。久しぶりに会ったらさらに綺麗になっててさ、ひどいこと言って別れてもったいねぇよな、あのときの俺」
遥斗の言葉がどれだけ本気なのかわからないけど、ドキッとした。
本当に……
本当にそんなこと思ってる?
だったら、今からだってまだ遅くないよ?
遥斗の言葉に、私の気持ちがもう動き出してた。
「遥斗……」
「あゆかさ、今彼氏いる?」
呼びかけた私の声と、遥斗の声が重なる。
私も今まさに、似たようなことを聞こうと思ってた。
「いない、よ?遥斗は?」
ドキドキしながら訊ね返す。
だけど、返ってきたのは全く予期してない答えだった。
「うーん、いるって言うか……今一緒に住んでて3ヶ月後に入籍予定」
「え?」