ガーデンテラス703号


遥斗の結婚報告を聞いてからの私は、それから彼と別れるまで完全にうわの空だった。


「じゃぁ、また連絡するから」

その言葉だけ聞いたら胸が高鳴りそうだけど、それは合コンの詳細連絡ってことらしい。

手を振って帰って行く遥斗を見送ってから、私もマンションのほうへ向かってふらふらと歩いた。

しばらく歩いていると、額に水滴がポタリと落ちてきた。

空を見上げると、雨雲に覆われて灰色に見える。


今日、夜から雨予報だったっけ。

ただでさえ気分が塞いでるのに、雨なんてツイてない。

マンションに着くまでは大降りになりませんように……


黒雲がかかる空に祈りながら、急ぎ足で歩く。

だけど私の祈りは届かず、雨粒はどんどん大きくなって、ザーッと音をたてて降り始めた。


最悪だ……

雨の中、カバンを抱きかかえて背中を丸めて走る。

濡れた道路でヒールの裏が滑って走りにくい。

あっという間に、髪の毛も服もびしょ濡れになる。

必死で走っていると、遥斗と遭遇した、マンションの近くのコンビニが見えてきた。



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