ガーデンテラス703号
そのままマンションまで走り続けてもいいけれど、服と靴が濡れ過ぎていて走りにくいから少し休憩したい。
コンビニの入り口の横に立ち、軒下で雨を避ける。
髪の毛やシャツやスカートから、ぼたぼたと雨水を滴らせて立つ私を、コンビニに出入りする人がチラチラと見ていくから恥ずかしかった。
こんなに濡れてしまってたら、傘を買うのも今さらだし。
マンションはもう目と鼻の先だ。
あともう一走りしよう。
気合をいれて、またカバンを胸に抱きしめる。
当分やみそうにない雨の中に一歩踏み出そうとしたとき、不意に後ろから肩をつかまれた。
「お前、何してんの?」
声をかけられて振り返ると、ホタルが立っていた。
背の高い彼に、睨むように見下ろされてビクリとする。
「そ、そっちこそ。何してるの?」
「仕事帰り。買い物あって、ちょっと寄ってた」
クイっとコンビニを指すように顎を動かしてそう言ってから、ホタルが持っていたビニール傘を挿す。