ガーデンテラス703号


ぼんやりとその動きを見ていると、ホタルが手を伸ばしてきて私の肩を引き寄せた。

その弾みでホタルの胸にトンッと額がぶつかるから焦る。


「ちょ、いきなり何?」

慌ててホタルから離れると、頭の上に雨がザーザーと降り注いだ。


「冷た……」

雨に打たれて肩を震わせる私を、ホタルが冷たい目で見下ろす。

相変わらず、目付き怖いし……

コンビニの軒下にもう一度避難するために後ずさろうとすると、ホタルが今度は私の腕を引っ張る。


「何してんだよ、トロいな。帰るから、とっとと傘に入れ」

不機嫌そうな声で怒られて視線をあげると、私はホタルが挿してくれている傘の中にすっぽり収まっていた。


「え、いいの?」

「どうせ同じ方向だし。すぐそこだろ」

「あ、ありがとう……」

戸惑いながらお礼を言うと、ホタルが傘を持って歩き出した。

いきなり歩き出したホタルに遅れないようにと急ぐと、隣にいるホタルに身体がぶつかる。


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