ガーデンテラス703号
恥ずかしさに赤くなりながら、私は部屋の前を離れてホタルのほうに歩み寄った。
「あの、いろいろありがとう。助かりました」
ぺこりと頭を下げると、さっと踵を返してまた部屋の前へと戻る。
「おやすみなさい!」
言うことは言えたし、そのまま部屋に逃げ込もうとドアに手をかける。
そのとき、ホタルがソファーから立ち上がった。
「なんか飲む?」
「え?」
「ミルクティーでも作ってやるよ。寝る前にコーヒーも微妙だし」
私の返事も聞かずに、ホタルがスタスタとキッチンに歩いて行く。
冷蔵庫から牛乳を取り出したホタルが、ミルクパンにそれを注いでコンロにかける。
その後ろ姿を茫然と見つめていると、ホタルが振り返った。
「甘め?」
「え?」
「味」
「あ、えっと……はい」
頷くと、ホタルが了解とでも言うように口角を上げて笑む。
変わらず目付きは怖いけど、小さく笑うその顔は綺麗で、私の胸をドクンと高鳴らせる。