ガーデンテラス703号


「おいしい」

目を丸くして歓声をあげると、ホタルがちょっと嬉しそうに目を細める。


「そりゃ、よかった。それ飲んだら、身体あったまってるうちに寝ろよ」

ホタルが気遣いの言葉をかけてくれる。

いつも怖い目で見てくるホタルの表情とたまに垣間見られる彼の優しい態度にはギャップがあって。

それが意外だった。


「うん、そうす……っくしゅん!」

マグカップを握り締めてホタルの言葉にありがたく頷いたとき、思いきりくしゃみが出てしまった。


「あ、ごめん……」

謝ると、ホタルが無表情で立ち上がる。

それからさっとソファーのほうに歩いて行ってしまうから、なんだかちょっとショックを受けた。

そんな避けなくても……


「あれ、いつもシホがこのへんに置いてんだけどな」

俯いていると、ソファーの周りを歩きながらホタルがぶつぶつ言いだした。

しばらくして戻ってきたホタルが、私の座る椅子の横に立つ。


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