ガーデンテラス703号


ホタルの様子を気にしながら、ゼリーでも取ろうと冷蔵庫を開く。

そのとき、物音に気づいたホタルが振り返った。


「起きてたのか」

「あ、うん」

ゼリーをとって冷蔵庫をパタンと閉めると、ホタルが私の手をジッと見下ろしていた。

その目に何となく睨まれているような気がして、特に後ろめたいわけでもないのにゼリーを持つ手を後ろに隠してしまう。


「腹減ってんだろ?」

「あ、うん。だから、シホが買ってきてくれたゼリーでも食べようかと……」

後ずさりしながら部屋に戻りかけると、ホタルが私から一旦視線を外してコンロの火を止めた。

それから、肩越しに振り返る。


「ちょうど今できた。リゾット食える?」

「え?」

リゾット……?

部屋を出たときに漂ってきたいい匂いの正体はそれだったのか。

そう思ったら、くぅーっとお腹が鳴った。

きっと、少し離れて立つホタルにも聞こえたと思う。

恥ずかしくてお腹を押さえて赤面すると、ホタルがふっと鼻で笑った。


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