ガーデンテラス703号


「座って待ってろ」

私に向かってそう言うと、ホタルが戸棚から食器を出して慣れた手つきで鍋のリゾットをふたり分よそう。

仕上げにさっき刻んでいたらしいパセリをかけると、まだ突っ立ったままでいる私の横を通り過ぎて、ダイニングテーブルにリゾットの入った皿を並べた。

そうして皿の横にスプーンを置くと、ホタルが私を振り返る。


「早く座れ。冷める」

ホタルが睨むように見てくるから、慌ててダイニングテーブルに駆け寄った。

テーブルに置かれたリゾットからは、ふわふわの白い湯気が立ち上っていてほのかにミルクの甘い香りがする。


美味しそう……

テーブルに座るのも忘れて見ていたら、今度はぐぅーっとさっきよりも大きな音でお腹が鳴った。


「どうぞ」

私のお腹の音をそばで聞いていたホタルが、私の前にお茶を出しながらクッと笑う。

恥ずかしいけど、お腹は空いてるし。

こんな美味しそうなものを前にして、誘惑に勝てそうもない。



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