ガーデンテラス703号
「いただきます」
私はおとなしく椅子に座ると、ホタルの作ってくれたリゾットに手を合わせた。
「どうぞ」
ホタルがもう一度そう言って、私の前に座る。
スプーンを手にとって自分の分を食べようとしているホタルの様子を窺いながら、私もスプーンでリゾットを掬う。
熱々のそれにふーっと息を吹きかけながらひとくち食べると、ミルクの甘くて優しい味が口いっぱいに広がった。
「美味しい!」
目を輝かせながらそう言ったとき、ちょうど同じタイミングで顔を上げたホタルが得意げににやりと笑った。
「そりゃよかったな。風邪ひいたときでも食べやすいから、カボチャときのこを入れてミルクリゾットにした」
「お店で出してるメニュー?」
「いや、オリジナル」
「お店で出せそうだよ。すごく美味しい」
息を吹きかけながら熱々のリゾットを頬張っていると、ふと視線を感じた。
お皿に落としていた目線を上げると、ホタルがとても優しい目で私のことを見ていた。
それは、いつか彼がシホに向けていた眼差しにも近くて。
動揺して胸が騒ぐ。