ガーデンテラス703号


「あ、ちょっと待て」

自分が食べたお皿は洗おうと食器を重ねてダイニングから離れようとしたとき、ホタルが立ち上がって私の腕をつかんだ。


「何ですか?」

背の高いホタルを睨むように見上げると、彼が顔をしかめた。


「目つき悪ぃ」

「あなたにだけは言われたくないです!」

「悪かったな、目つき悪くて」

ホタルが怖い目で私を見下ろすから、慌てて捻りとるようにして彼につかまれた手を解いた。


「だってそっちが……」

顔を横に向けてつぶやくと、ホタルがため息をついた。


「ただでさえ風邪でハスキーな声になってんのに、あんまり大きな声出すと治んねぇぞ」

呆れた声でそんなことを言ってくるから、ムッとする。

私だって好きで大きな声出したわけじゃない。

喉痛いし。

触れて欲しくない、遥斗のことをからかってくるからじゃない。

横を向いてむすっと立っていると、ホタルが私のほうに歩み寄ってきた。


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