ガーデンテラス703号


ホタルのつり上がった目が私をジッと見ていて、まだ何かいろいろ言ってくるのかとビクッとする。

だけど、彼は私のそばを通過してキッチンに向かった。

横を通り過ぎるときに、ついでみたいに彼の大きな手のひらが私の髪をくしゃりと撫でる。

そんなふうに男の人に頭を撫でられるのはかなりひさしぶりのことで。

心臓が跳ね上がりそうになるくらいどきっとした。

な、何……?


ドギマギしながら、キッチンに入っていったホタルを振り返る。

どういうつもりかわからないけど、キッチンに立つホタルは何事もなかったみたいに平然とした顔をしていた。


「座ってろよ。喉よくなるように、ハニージンジャーティー淹れてやる」

ホタルが何だか命令口調でそう言ってくる。

本人はそんなつもりはないのかもしれないけど、妙に威圧的なその物言いと頭を撫でられたことによる胸の高揚に逆らえず……

複雑な表情を浮かべながら、もう一度ダイニングの椅子に腰をおろした。


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