ガーデンテラス703号


しばらく待っていると、ホタルがティーカップを私の前に運んできた。


「どうぞ」

カップから立ち上る湯気とともに、甘いハチミツとちょっと刺激のあるジンジャーの香りが漂ってくる。


「お代わり自由で」

ティーカップを運んだあとにキッチンに戻ったホタルが、今度はティーポットを運んでくる。

透明なガラス製のポットの中で、淹れたてのハニージンジャーティーがゆらりと揺れた。

何だか至れり尽くせりで。

おしゃれカフェにでも来てるみたい。


「ありがとう……」

小さくつぶやくと、ティーカップを口に運ぶ。

ホタルが淹れてくれたハニージンジャーティーはほどよく甘くてとても飲みやすかった。


「美味しい」

身体だけじゃなくて、心の中もあったまる感じがする。

ジンジャーが喉をピリリと刺激して、声の調子もよくなりそうだ。


「そりゃよかった」

ホタルが満足そうに小さく頷く。

淹れてもらったハニージンジャーティーを飲み、もういっぱいおかわりして飲む間、ホタルはただ黙って頬杖をつきながら私の前に座っていた。



< 129 / 393 >

この作品をシェア

pagetop