ガーデンテラス703号


綺麗な彼の顔が近づいてくるのと同時に、ほのかにムスクの香りが漂ってきて相手にはっきりわかるくらいにカッと赤面してしまう。


「噂通り、可愛いね」

彼がクスッと笑ってささやくから、どう反応すればいいのかわからなくて目を伏せた。

かっこいいけど、何この人……?

本気で困っていると、キッチンにいたシホが腰に手をあてながら速足で歩み寄ってくる。


「ちょっとー。あんまりあゆかのことからかわないでよね、基ちゃん」

私と彼の間に割り込んできたシホが、彼を押し退けて私から遠ざける。


「別にからかってないよ。ほんとに可愛いなぁと思ったから。ね、あゆかちゃん」

助かった。

そう思ってシホの背中に隠れたら、「基ちゃん」と呼ばれていた彼が、彼女の横からひょいと顔を覗かせてにこりと笑う。

その笑顔はやっぱり綺麗で、今までその顔と言葉で女の子をたくさん落としてきたんだろうなと思った。


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