ガーデンテラス703号


何だか楽しそうだけど……

基さんはいったい何者?

疑問を口にできないままに、ちらりとシホを見る。

そうしたら、シホが先にソファーに座った基さんの横顔をとても切なそうに見つめていたからドキリとした。

いつも明るくて、元カレと別れたことすら笑いながら話していたシホ。

そんな彼女が、今まで見たことのないくらい切なげな目をしていて。

見てはいけないものを見てしまったような気がして、脈がドクドクと速く鳴った。

急いでシホから目を逸らそうとしたとき、私の視線に気づいた彼女が振り向く。

声には出なかったけど「あ……」とあからさまに気まずそうな顔をした私を見て、シホが苦笑いした。


「ごめんね、びっくりさせて。あの人、梨木 基(ナシキ ハジメ)。ホタルのお兄さんなんだけど、いっつもあんな感じなの」

「ホタルの……?」

誰かに似てると思ったら、ホタルだったんだ。

基さんはホタルみたいに目つき悪くないし、優しい顔をしてるから言われるまで気付かなかった。



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