ガーデンテラス703号
「基ちゃんとホタル、似てないよねー。ホタルの釣り目はお父さんの叔母さんの遺伝らしいよ」
ソファーに座るホタルたちを見ていると、私の考えを悟ったみたいにシホがクスクス笑った。
お父さんの叔母さん。
それはまたなかなか遠いな……
つられてクスッと笑うと、シホがホタルの……いや、たぶん基さんのほうに視線を向けた。
「基ちゃんは、ふたりのお父さんが経営してる会社の次期後継者。再来月、結婚するんだって。奥さんになる人、頭が良くて美人で強くて。すごく素敵な人なんだよ」
基さんを見つめながら、シホが自分に言い聞かせるみたいにゆっくりと話す。
「今日はその報告と、式の招待状を持ってきたんだって」
「シホ……」
シホの基さんを見る目を見たら。彼のことを話すシホの声を聞いたら。それだけですぐにわかる。
「あゆかもあっちでお茶飲もう。あたしが淹れたからビミョーかもだけど」
私の手をとって、シホが普段通りの笑顔を作る。
だけどそれは何だか痛々しくて、彼女の顔を直視できない。
シホは、基さんのことが好きなんだ。
確かめるまでもなく、そうなんだと思った。