ガーデンテラス703号


「あゆかちゃんも、疲れてるのにごめんね。ホタルとシホのこと、よろしく。よかったら、今度メシでも奢るよ」

シホとホタルに挨拶したあと、私にも社交辞令を言うことを忘れない基さん。

きっと、仕事でも気配りができるんだろうなと思って見ていたら、シホが私の前に立ちはだかった。


「だーかーらっ。あゆかのこと口説こうとしちゃダメだって」

「いいじゃん。あゆかちゃん、可愛いし」

冗談交じりに笑う基さんを、シホが恨めしげに睨む。

基さんは冗談のつもりなんだろうけど、シホにはキツいだろうな。

シホの気持ちに気付いてしまっている私には、強がる彼女の背中が切なくて仕方なかった。

好きな人が他の人と結婚するのは辛いよね。

私なんて、元カレの結婚の話を聞いただけでショックだったもん。

そのうえ、結婚式では好きな気持ちを隠して彼の幸せを祝福しなきゃいけないんだからもっと辛い。



< 143 / 393 >

この作品をシェア

pagetop