ガーデンテラス703号
「お前は?」
振り返ったホタルが、缶ビールを持った手を片方上にあげる。
「え?」
戸惑い気味に首を傾げると、ホタルが眉を顰めた。
「今から晩酌。お前も飲む?」
「おー、さすかホタル。気が効くねー」
ホタルが私にも訊ねたとき、玄関からシホが戻ってきた。
つかつかとキッチンに歩いていくと、ホタルの手から缶ビールをふたつひったくる。
「あゆか、飲もー。ホタル、ツマミ作って」
「は?お前、ふざけんな」
「いいじゃん。飲むだろうなと思ったから出してくれたんでしょ、これ」
缶ビールを持ち上げたシホを見て、ホタルが小さく舌打ちする。
「よろしくー!」
苦い顔でキッチンに立つホタルにひらひら手を振ると、シホが私の隣にやってきた。
「はい、あゆか」
ホタルに対してはハイテンションだったシホが、私にビールをひとつ渡してぽつりとつぶやく。
「ちょっとだけ、付き合って」
その声を聞いたら、頷かないわけにはいかなかった。