ガーデンテラス703号


「うーん。そういうのはない、かな。遥斗、もうすぐ結婚するんだって……」

「えー?何それ!」

私がそう言った瞬間、シホがあまりに大声を出すから耳がキーンと痛くなった。


「シホ、声おっき……」

「どうして結婚するのに、あゆかに電話かけてくるの?浮気?マリッジブルー?もしかして、さっき間違い電話っていってたのも遥斗?」

軽く耳を押さえた私に、シホが興奮気味に迫ってくる。

困っていると、呆れ顔のホタルが近づいてきてシホの肩に手を置いた。


「シホ、落ち着け……」

「ホタルは黙っててよね」

シホが肩にあるホタルの手を払いのけたとき、まだ彼女の手の中にある私のスマホが再び鳴り出した。


「また遥斗だ」

シホが私のスマホを見てつぶやく。


「しつこくない?婚約者いるんでしょ?それなのに、自分から別れた彼女にしつこく言いよるなってあたしが代わりに言ってあげるよ」

鼻息を荒くしながら憤った声でスマホの通話ボタンを押そうとするシホ。


「待って、それはちょっと……」

浮気だとか思ってるのはシホの勝手な思い込みで、遥斗の本当の用件は合コンの返事。

それがわかっているから焦ってシホからスマホを取り返そうと手を伸ばす。



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