ガーデンテラス703号


「もしもし?」

だけど私がスマホを取り戻すより先に、シホが電話に出てしまう。


「あゆかじゃなくてシホだけど。遥斗、あんた結婚するんでしょ?それなのにしつこくあゆかに――……え、何?」

最初は遥斗に切れ気味に話していたシホの声が、途中から急に穏やかになる。


「うん、うん。それで?」

それどころか、遥斗の話にものすごく興味を示し始めたから気になった。


「へぇ、そうなんだ。それならそうと早く言ってよ。で、日にちいつだっけ?」


日にち……?

いったい何の話をしてるんだろう。

シホが何だか楽しげな声で話しながら、自分のスマホを開いてカレンダーを確認し始める。


「来週土曜日?いいよ、夜なら空いてる」


来週土曜日……?

そのとき、彼女が遥斗と何の話をしているのかがわかってものすごく嫌な予感がした。

まさかシホ、勝手に……


さっと顔色を変えた私を見て、シホが楽しそうににこっと笑う。


< 151 / 393 >

この作品をシェア

pagetop