ガーデンテラス703号
「うん、了解。あたしが働いてる美容室で一番可愛い子に声かけとくよ。じゃぁ、あゆかにかわるねー」
明るい声でそう言って、シホが私のほうにスマホを差し出す。
「はい、あゆか。遥斗から合コンの誘い受けてたんだって?それならそうと早く言ってよね。詳細はあゆかに伝えるって」
にこりと笑いかけてくるシホは、何だか上機嫌だ。
詳細って。
来週の土曜日の合コンは今のシホと遥斗の会話で決定事項になったの……!?
「あゆか、早く」
茫然とする私の手に、シホがスマホをねじ込んでくる。
「もしもし……」
「あ、あゆか?ごめんな、何度も。今シホとも話したけど俺の先輩たちとの合コン来週の土曜でいいよな?今先輩のひとりと飲んでるんだけど、セッティング早くしろってすげぇ急かされちゃって」
「あー、うん。そうなんだ……」
遥斗の周りがガヤガヤとうるさいから、彼の言うとおり居酒屋から電話をかけてきているんだろう。
「そういうことで、また店とか時間決まったら連絡するからよろしく」
「え、あの……」
「じゃあな!」
「あ、ちょっとま……」
私は来週の土曜が空いているなんて一言も伝えてないのに、勝手によろしくされて遥斗からの電話は切れた。