ガーデンテラス703号
「こないだ風邪ひいて一緒に昼メシ食ってたとき、お前届いたメールの返信躊躇ってたよな。あれって、さっき電話してきた遥斗ってやつからの合コンの誘いの返事?」
「うん、まぁ……」
どうしてホタルがそんなこと聞いてくるのかよくわからない。
不思議に思いながら頷くと、ホタルが私を見据えたままさらに眉根を寄せた。
ホタルの表情が若干険しくなるのと同時に、それまで以上にキツく睨まれているような気がして身が縮む。
後ずさるようにホタルから距離をとると、彼が私を嘲るようにふっと笑った。
「あのときは誘われてすげぇ困ってたみたいだったのに。結局行くんだ?」
「だって、成り行きで日にちも場所も決まっちゃったし」
「シホが言ってたけど、お前の元カレが務めてる会社、大手の自動車メーカーなんだってな。しかも、海外事業部の人を紹介してもらえるから将来駐妻になれるかもとかってさっきシホが浮かれてた」
「そ、そうなんだ」
私を睨むように見ながら、ホタルが何だか突っかかってくる。