ガーデンテラス703号


そのとき、反対方向から急ぎ足で歩いてきていたサラリーマンの肩が勢いよくぶつかってきた。


ぶつかられてよろけたのは私のほう。

そのときに、腕がそばにあった棚に軽くぶつかって、そこにあったお菓子の箱がバラバラといくつか落ちてしまう。


「あ、すいません」

だけど、ぶつかってきたサラリーマンはよほど急いでいたのか、私をまともに振り返りもせずに早足でコンビニを出て行ってしまった。


「最悪……」

周りに聞こえないくらいに小さな声でつぶやいて、足元に落ちたお菓子の箱をいそいそと拾う。

だけど、やっと全部拾い上げて上を向いたとき、不安定なままなんとか棚に残っていたらしいお菓子の箱がひとつ。

耐えきれずに、しゃがんでいた私に向かって落下してきた。

長方形のお菓子の箱の角が、見事に額にヒットする。


「あ、いたっ……」

それに驚いて、せっかく拾い集めていたお菓子の箱を全て腕の中からこぼしてしまった。


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