ガーデンテラス703号


カチャリと無機質な音をたてて閉じたドアに、若干の淋しさを覚えながらも、また森岡さんへのメッセージの作成にとりかかる。


どうしよう。

とりあえず、ご馳走してもらったお礼から……

スマホの画面に指をあてて文字を打ち始めたとき、今度はノックなしにいきなり部屋のドアが開いた。

ルームシェアを始めてからそういうことは滅多になかったから、びっくりして振り返る。

見ると、ドアのところに立っていたのはホタルで、目を見開く私に向かって何かを投げつけてきた。

ホタルに投げられもので、一瞬視界が遮られる。

手で払いのけたら、それは一枚のバスタオルだった。


「これ……」

「ちゃんと乾かさないと、また風邪ひくぞ」

ホタルに言われて、そういえば髪が結構湿ったままなことに気付く。


「あ、ありがとう……」

お礼を言うと、ホタルがふっと笑いかけてくる。

相変わらずのつり目だけど、私を見下ろすホタルの表情は優しくて。

ドクンと心臓が大きく高鳴った。



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