ガーデンテラス703号


だけど、さっき聞いてしまった意味深な寝言のことが気にかかって。

胸がひどく騒ついていた。


「もしかして、これ、お前?」

お腹のあたりにかけられたタオルケットに気が付いたホタルが、私を見上げる。


「ありがと、な」

頷くよりも早く、ふっと頬を緩めたホタルが優しい目をして笑うから、胸がぎゅっと締め付けられて苦しくなる。

このタイミングで、そんなふうに笑わないでほしい。

なんか、泣きそうになる……


そんな私の、複雑な胸のうちになんか気付いていないホタルは、タオルケットを胸まで引っ張りあげると、ふたたびソファーにごろんと寝転がった。


「あー、今から部屋戻る気力出ない。今日はここで寝るわ」

気だるそうにぼやいて、ホタルが目を閉じる。


「風邪、ひくよ?」

「大丈夫。布団あるから」

ソファーの上でころころ転がって寝やすい体勢をつくっているホタルを見つめていると、彼が不意に片目を開けてちらりと私を見てきた。


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