ガーデンテラス703号
「お前は?寝ないの?」
「寝るけど……」
「ふーん」
興味なさそうな声を出しながら、ホタルが再び目を閉じる。
そのまま眠りにつくつもりらしいホタルを無言で見つめていると、しばらくして彼がぱちりと目を開けた。
「何?一緒に寝る?」
何を思ったのか、ホタルが無表情でそう訊ねてきた。
心なしか私を睨んでるようにも見えるホタル。
「え……」
その言い方がなんだか冗談に聞こえなくて、目を白黒させていると、クッと小さく笑う声が聞こえた。
「何、本気にしてんの?」
ホタルが目を細めて、にやりと笑う。
「別に、本気になんかっ……もう、寝るから!」
揶揄われたとわかっているのに、意地の悪い彼の笑みにすら、少しときめいてしまうのが悔しい。
ホタルから視線をそらして、彼の寝そべるソファーに背を向ける。
部屋に戻ろうと歩き出したとき、背後からホタルの声がした。
「あぁ、おやすみ」
その声音は、さっき私を揶揄ったときとは違って、とても優しかった。