ガーデンテラス703号




「ただいまー!」

玄関からやたらとテンションの高い声が聞こえてきたのは、夜の22時を過ぎた頃だった。

お風呂から出て部屋にいた私は、リビングに向かって近づいてくるシホの足音と笑い声に気がついて部屋のドアを開けた。


「あ、あゆかー。ただいまー」

私の顔を見ると、シホが笑いながら明るい声でそう言った。

そのままやや覚束ない足取りでキッチンに向かったシホは、冷蔵庫の前に立つと勢いよくその扉を開けた。


「あ、ビールいっぱい冷えてるー」

嬉しそうにそう言うと、シホが二缶のビールを両手に持って私を振り返った。


「あゆかも飲む?」

小首を傾げながら、ビールをつかむ片手をこっちに突き出してくるシホは、結婚式でだいぶ飲んで既に酔っているように見える。

それでもまだ飲み足りないのか、私の返事を待たずに冷蔵庫の扉を閉めると、ダイニングテーブルにビールを二缶置いて今度はキッチンにあるおつまみを物色し始めた。


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