ガーデンテラス703号
ホタルの思いを知ってしまったら、彼が淹れてくれた紅茶のカップを口に運ぶことができなくなった。
動揺でカップを持つ手が震えてしまいそうで、それに触れていた手を引いて膝の上に揃えてのせる。
「まぁ、ホタルが否定するなら、そういうことにしておいてあげるよ。あゆかにだって、選ぶ権利あるもんね」
シホがそう言って、今度は私に視線を向けた。
「あゆかは?最近、気になってる人とかいないの?」
「わ、私は……」
そっと視線を横に向けたら、なぜかホタルと目が合って、ドキリとする。
さっきのホタルの態度を思い出したら、この人が気になってる、と。
そう思うことが事態がそもそも不毛な気がした。
黙り込んでいると、ホタルがテーブルの真ん中に置いてあるおつまみに手を伸ばしながらクッと笑った。
「気になるやつがいたら、休日に1日部屋着でダラダラしてないだろ」