ガーデンテラス703号



「確かに、今日の夕飯はコンビニ弁当だったよ。だけど私にだって、週末のデートに誘われるくらいいい雰囲気の人もいるんだから!」

「へぇ、そいつも妄想じゃなきゃいいけど」


そう言って、ホタルが口角を引き上げる。

妄想なんかじゃないよ。

一応、さっきコンビニ前で出会った森岡さんに誘われたし。

無言で睨むと、ホタルがますます私を揶揄うように笑う。

バカにされて悔しいのに、悪戯っぽく微笑むホタルの顔は綺麗で。

不覚にも少しドキドキさせられてしまう。


「これ、ごちそうさま」

このままホタルといたら矛盾する自分の気持ちをうまくコントロールできなくなるような気がして、まだ紅茶の残っているカップとソーサーを持つと立ち上がった。


「えー、あゆか。もう飲まないの?」

「うん、寝る」

私はカップとソーサーを軽く洗って片付けると、ダイニングテーブルに座るホタルの横を足早にすり抜けて部屋に向かった。


< 240 / 393 >

この作品をシェア

pagetop