ガーデンテラス703号




確かに、気だるそうに立っているシホには満員電車があまり似合わないなと思った。

つかんだ吊り革を下に引っ張るようにして立っているシホの横顔を見ていると、彼女がふと何か思いついたように私を振り返った。


「あゆか、来週末って空いてる?」

「土曜日?日曜日?」

「空いてたらどっちでも」

「どっちも特に予定はないけど」

そう答えると、シホの気怠げだった表情がぱっと明るくなった。


「ほんと?じゃぁ、日曜日。一緒に飲みに行かない?私、誕生日なんだよね」

言われて、そういえば……と思い出した。

学生時代はよくお互いの誕生日を祝いあってランチに行ったりしてたけど。

卒業してからはシホの誕生日がいつだったか、おぼろげになっていた。


「そっか。おめでとう!いいよ、どこかでお祝いしよう。でも、日曜日って誕生日当日でしょ?一緒に過ごすのが私でいいの?」

「当日に予定ないから、あゆかのこと誘ってるんだよ」

シホが窓の外に視線を向けながら、唇を尖らせる。



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