ガーデンテラス703号



そして、あれから数日過ぎた今になっても、私の頭の中を支配しているのはホタルばかりだから、ちょっと申し訳ない。

黙り込んでいると、何を思ったのかシホがニヤリと笑いながら肘で私の腕を小突いてきた。


「何?もしかして、誰か気になってる人いるの?」

「べ、別に……」

「怪しいなー。ここじゃなんだから、日曜日にいろいろ聞かせてよ。飲みに行くの、ホタルの店にしない?」

「え?」

シホの提案に、思わず肩がビクついた。

だけど、シホは私の動揺には気付いていないようで、にこにこと笑いながら話し続ける。


「あゆか、まだホタルの店に行ったことないよね?ホタルに言って予約とってもらうね。誕生日だからってことで、何かサービスしてもらおう」

「あ、うん」

シホが饒舌に話を進めていくから、この前行ったばかりだとはなんとなく言いづらくなった。

それに、あんなことがあってからホタルを避けてるのに、シホと一緒とはいえ、彼の店に行くのは気まず過ぎる。


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