ガーデンテラス703号


「いや、あれは深い意味で言ったわけじゃ……」


付き合ってる人も、いい雰囲気の人もいないけど、気になって仕方がない人は今のところひとりしかいない。

隣のテーブルの横に立つ、ホタルの背中をちらりと盗み見る。

そしてその人は……

隣のテーブルまでは、少し距離がある。

店内の雑音で、私たちの会話はホタルのところには正確に届いていないと思う。

だけど、ホタルの気配を感じながらシホと恋愛話をするには恥ずかしさと抵抗があった。


「シホのほうこそどうなの?誰か気になる人いないの?」

自分から少しでも話題が逸れるようにはぐらかしてみる。


「私はほんとに全然何もないんだって。だから、こうして誕生日にも付き合ってもらってるんじゃん。早く、気になる人見つけたいとは思うけど、なかなかねー。私のことより、あゆかのこと聞かせてよ」

だけど、シホは笑いながら左右に手を振って、すぐに私に話題を戻してきた。


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