ガーデンテラス703号


あのあとから、森岡さんからの連絡がパタリと途絶えてしまったから。

怒らせてしまったのだろうなと思っていた。


でも、もしかしたら……

あの夜の森岡さんの私への告白は、本気じゃなかったのかもしれない。

そんなことを思いながら、女の人と並んで歩く森岡さんの背中を見つめていたら、コトンとテーブルに何かが当たる音がした。

ふと視線を向けると、いつの間にかホタルがやって来ていて、私とシホの前に新しい飲み物のグラスが置かれていた。


「あ、予約席、あの人たちだったんだ」

ホタルが運んできたワイングラスに手を伸ばしながら、シホが森岡さんたちのほうに不満そうな視線を投げる。

もう一度森岡さんたちを振り返ると、奥の半個室のソファー席に案内されて消えていく森岡さんと彼女の後ろ姿が見えた。

私をここへ連れてきてくれたとき、森岡さんは席の予約なんてしていなかった。

半個室のソファー席を予約しているということは、彼女は森岡さんにとって特別な人なのかもしれない。


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