ガーデンテラス703号



やっぱり、森岡さんは私に対して本気じゃなかったんだな……

合コンで出会った女だし、軽く遊べたらいいやってくらいの気持ちで私に声をかけたんだ。きっと。

そう考えると、少し悲しかった。


でも、森岡さんがそんな気持ちだったのなら、あの夜彼について行ったりしなくてよかった。

複雑な気持ちで森岡さんのいる半個室をぼんやり見つめていると、ホタルが私の真横に立った。

私にもシホにも新しいドリンクが運ばれてきたはずなのに、立ち去るどころか、壁のように私の横に立ちはだかっているホタルにぎょっとする。

顔を上げると、いつも以上に怖い目をしたホタルが、私のことを睨みおろしていた。


「あ、の……仕事は?」

般若のようなホタルの形相に怯えながら訊ねると、ホタルが突然私の手首をつかんで引っ張った。


「…………!?」

「ちょっと、ホタル。いきなり何?」

驚いて目と口をぽかんと開けるばかりの私の代わりに、シホが声を上げる。


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