ガーデンテラス703号



嬉しそうに歩き去っていく香織の後ろ姿を見つめながら、羨ましいなと思う。

私なんて……

今朝のホタルの態度を思い出してため息をつきかけたとき、誰かが後ろから肩を叩かれた。


「榎本先輩。先輩って、帰りどっち方面でしたっけ?」

振り返ると、送別会の幹事をやってくれた後輩の戸田くんが立っていた。


「あっち、だけど……」

私が自分の家のほうを指さすと、戸田くんが嬉しそうに笑った。


「あ、やっぱり。もしよかったら、駅前からタクシー乗り合わせません?笹野も途中まで一緒なんで、3人で」

そう言いながら、戸田くんが彼の斜め後ろに立っている彼の同期の女の子をちらっと振り返る。

戸田くんとはたまに話すけど、笹野さんとは挨拶を交わす程度の関係でしかなかった。

いいのかな、と思いながら笹野さんを見ると、彼女が微笑んで会釈してくれる。



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