ガーデンテラス703号



駅までひとりで歩いて行って、そこから電車で帰ったほうが安くはつく。

だけど香織に置いていかれてちょっと寂しい気持ちになっていた私は、戸田くんの誘いをありがたく受け取ることにした。


なんとなく戸田くんを真ん中にして駅まで歩き、3人でタクシーに乗り込む。

そこから30分ほどタクシーを走らせて、まず最初に降りたのは笹野さんだった。

それから10分ほどまた走って、私の住むマンションの前に辿り着く。


「うわー。榎本先輩の家、すげぇ立派ですね」

一度一緒にタクシーから降りてくれた戸田くんが、ぽかんと口を開けてマンションを見上げる。


「うん。でも、友達とルームシェアしてて。その友達のお父さんがここの一室を所有してるの」

「へぇ、すごいですね」

「私はすごくないよ。あ、これ、私の分のタクシー代。もし足りなかったら明日請求して」

「ありがとうございます」

財布からお札を取り出して渡すと、戸田くんが軽く頭を下げながらそれを受け取った。


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