ガーデンテラス703号
突然のことに驚いて、私の口から声にならない掠れた悲鳴が漏れる。
変質者かもしれない。
肩をつかむ手を振り切って逃げ出そうとしたとき、耳元で聞きなれた声が響いた。
「昨日の今日でもう違う男連れてるとは。いいご身分だな」
びくりと肩を震わせながら振り向くと、そこには不機嫌そうな顔をしたホタルがいた。
「早く来い」
怒ったような声でそう言うと、ホタルは私の腕をつかんでエレベーターのボタンを押した。
上階に上がるエレベーターのドアはすぐに開いて、ホタルがほとんど押し込むように強引に私を乗せる。
「で?誰だよ、あいつ」
一度がたんと揺れて、エレベーターがゆっくりと上昇を始めたとき、ホタルが私を睨み下ろしながら怖い声で問いかけてきた。
「だ、誰って?」
威圧感のあるホタルの声にビビった私は、エレベーターの壁に背中をぴたりとつけて身体を縮こめる。