ガーデンテラス703号
「それはお前だって同じだろ。俺が勘違いして期待してたら、次の瞬間にはそばに他の男が立ってる」
「え?」
顔をあげたら、ホタルが困ったように笑いながら私の頬にそっと触れた。
「俺が好きでもない女に何度もキスしてたって思われてたなら、心外なんだけど」
「ホ、タル……?」
ぽかんとした顔で見つめていると、ホタルの頬が玄関の暗い照明の下で朱に染まる。
「気付けよ。そんなの、好きに決まってんだろ」
ドクンドクンと、心臓が大きくはっきりと鼓動を打ち鳴らす。
ゆっくりと瞬きをしていると、珍しく照れた表情で俯いたホタルに、勢いよく押し倒された。
硬い廊下の床に、コツンと背中からぶつかる。
「もう、俺のものってことでいいよな」
私に覆い重なるホタルが、唇で綺麗な弧を描いて笑う。
玄関の照明に照らされたホタルの顔は、いつもより色っぽくてとても綺麗に見えた。