ガーデンテラス703号


その日。ルームシェアを始めたマンションに帰ると、缶ビールを手にしたシホが玄関に飛び出してきた。


「あゆか、おかえりー」

やたら明るい声を出して、まだ玄関で靴を脱いでいる私の肩に腕を絡めてくる。

部屋着に着替えているシホは、もうお風呂に入ったあとらしい。

髪の毛が少し濡れていて、そこからシャンプーの香りがほのかに漂っていた。

シホの頬はほんのりと赤く、お風呂上りに開けたビールでどうやらほろ酔い気分らしい。


「あゆか、帰ってくるの待ってたー。一緒に飲もうよ。美味しいチーズとクラッカーがあるよ」

「そうなんだ。ひとりで飲んでたの?」


「そう。だって、付き合ってくれる人いないんだもん。あ、お風呂空いてるから先に入ってくる?それからゆっくり飲もう」

シホに背中を押されるようにしてリビングに入ると、ダイニングテーブルの上にはクリーム系のパスタとチーズ、クラッカー。

それから、缶ビールと小さなワインが置いてあった。


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