ガーデンテラス703号


「早くドア閉めてどっか行ってください」

バスタオルを身体にしっかりと巻きつけながら、真っ赤になってホタルを睨む。

ホタルは必死に彼を睨みつける私のことをふっと鼻先で笑うと、洗面所の扉の取っ手から何かを外してこちらに放り投げた。

軽く投げられたそれは、私の足元に落下する。

見ると、それは長方形の小さなプレートだった。


「入ってるときは鍵かけて、ついでにこれひっかけといて」


ホタルが投げた小さなプレートには、可愛くデコられた文字で「使用中」と描かれている。

そういえば、昨日シホにも言われたような気がする。

「お風呂は共用だから、注意してね」って。

でも今まで入浴中に他の人が入ってくる心配をする必要なんてなかったから、すっかり忘れていた。

タオルを巻いたまま腰を屈めて足元のプレートを拾う。

顔をあげると、ホタルは吊り上がった目で私をじっと見てから、無表情のままに洗面所の扉を閉めた。



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