ガーデンテラス703号


開いたドアから顔を覗かせたのはホタルだった。

もうそろそろ夜の20時を回ろうとしているのに、彼はきちんと髪を整えてTシャツの上にジャケットを羽織っていて、すぐにでも外出ができそうな格好をしていた。


「今から行くから戸締まりしとけよ」

ホタルがシホと、それから私を見てそんなことを言う。


今から……どこへ行くというんだろう。

ぽかんとしていると、シホがワイングラスを少し持ち上げながらホタルに向かって気だるそうに手を振った。


「はいはーい。勝手にいってらっしゃい」

シホの適当な対応に、ホタルが僅かに眉を顰める。


「シホ、飲みすぎんなよ」

「うるさいなぁ。ほっといてよね」

煩わしげに答えるシホを、ホタルが呆れ顔で見つめる。

シホを見つめるホタルの目は、私に向けられるそれよりは確実に優しかった。

それはシホが彼の幼なじみだからなのか、それとも……



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