ガーデンテラス703号
「シホの部屋、ガーデンテラスってマンションの703号室だよね?」
やっぱり私が部屋を間違えたんだろうか。
シホに訊ねながら、ちらりとドアのほうを見遣ってぎくりとする。
部屋のドアはまだ開いていて、見知らぬ彼が私を睨むように見下ろしていた。
え、まだ睨まれてる――…
なんか、怖い。
「ごめん、シホ。場所変えるからちょっと待って」
私は肩を縮こませながら彼に向かって軽く頭をさげると、スマホを片手にいそいそとその部屋から離れた。
それからマンションの長い通路を歩いてエレベーターの前で立ち止まる。
辺りに誰もいないのを確認してからエレベーターのそばの壁に寄りかかると、受話器から「あゆか、まだー?」というシホの声がした。