ガーデンテラス703号


シホに背中を押されながらリビングに足を踏み入れた瞬間、焼けたガーリックのいい匂いがふわりと漂ってくる。


「いい匂い」

「でしょ?」

そのままシホに導かれるようにダイニングテーブルに足を進める。


そこには、テーブルいっぱいの料理が並べられていた。

クリーム系とトマト系のパスタがひとつずつ。

サラダにアヒージョ。

それからイタリアン風のお肉と魚の料理が一品ずつ。

あとは、ワインとビール。その他何種類かのアルコール。

誕生日とか誰かの記念日のお祝いみたいな豪勢な料理に驚いてしまう。


「どうしたの、これ?」

シホを振り返って目を瞬く。

すると彼女が私の肩をぽんと叩いていたずらっぽく笑った。


「あゆかの歓迎パーティだよ。あゆかのために、うちのシェフが腕によりをかけました」

「私の……?」

まだ驚いていると、不機嫌そうな顔のホタルがキッチンから出てきた。


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