プリンセス☆ロード
「知らなければ、元の世界に戻る選択肢を選ぶこともできるかもと」
「…元の世界に戻ってもいいと思ってたの?」
「俺は、お前にいてほしいと思っている。だが、お前の幸せが向こうにあるのなら、…俺は、送り出さないといけないとも思っていた」
レンは、レンなりに考えてくれていたんだ。
私が戻りたいと思った時に、なるべく引き止めるものがないように。
心置きなく、元の世界に戻れるように。
だから、私にあえてなにも言わず、私に答えを出させようとした。
まったく、レンらしい。
「あのね、レン…。昨日、ずっと悩んだんだ。これからどうするか」
「ああ」
「この城で生きるか、城下で生きるか…。おかしいよね、この二択だったんだよ。元の世界に戻るって選択肢は、いつの間にか消えてたの」
大切な家族もいる、大好きな友達もいる。
その世界を捨てることは悲しい。
それでも、私は、この世界で生きたいと思った。
レンの側で、生きていきたいと思ったんだよ。
「私は、この世界にいたい。レンの、側で生きていきたい」
それが、私が出した答え。
「…っ!」
レンが私を強引に抱き寄せる。
私はレンの腕の中。
「レン…」
そっとレンの背中に手を回す。
大好きよ、レン。