そのとき僕は
だけど―――――――――
もう次会えるか判らない人が目の前にいて、僕がこの春中その真ん中にいた不思議を解き明かしてくれようとしている。どっち優先するかといえば、勿論こっちでしょ。
そんなわけで、僕は胸の中で友人とジャスミンに丁寧な謝罪をした。
ごめん、僕まだ行けないわって。だって、聞きたいのだ。この人の行動の理由を。それから・・・。
ただ、この人の話す声を。
最後の頭の中の呟きは、気がつかなかったことにした。とにかく僕は好奇心にうずいているのだ、そう結論付けて、彼女にヒラヒラと片手をふる。
「いいんだ。街案内お願いされたんだけど、僕がいなくても大丈夫な人達だから」
「そうなの?」
「うん。神社に興味がある交換留学生が来てて・・・。でもその子の友達は僕じゃないし。それより、続きは?近くの遊園地に家族で遊びに行って、それで?」
彼女はマジマジと僕を見ていたけれど、その内にヒョイと肩を竦めて話し出した。
こんな人の話に興味があるなんて、あなたって本当に暇なんだね~、なんて失礼な言葉つきで。
そりゃ興味あるだろう。だって、何度かは幽霊だったのじゃないかって思ったほどの、存在感のあやふやな人だったのだから!