Amarosso~深い愛~の作り方♪

何も言えず、思わせぶりなことも出来ないとわかっているだろうに。

絶対、取り返しに来ると決めていても、あの世界に入ったらどうなるかわからない。

口約束などして、安易に縛ることはできない。

だからと言って、すんなりと忘れてもらっても困る。

難しさに思わず、怜士は長い溜息を吐いた。

一枝がくつくつと笑っている。

怜士は眉をしかめて席を立った。


「期待している」


嫌な言葉を背に投げかけられた。


「余計なお世話です」


振り返りもせずに投げ返して店を出た。

その手には乗らないと言っておきながら、家庭教師との出来事をほおっておけない。

あんな風に麗華から声をかけられたのだから、なおさら。

その傷をほったらかしなんて出来ない。

< 249 / 273 >

この作品をシェア

pagetop